2020.7.19 【リポート】「絲衣司 紫と茜物語」リポートVOL.3
「絲衣司 紫と茜物語」リポートVOL.3
今日は、
「紫と茜」の手染めの絲についてご紹介します。
「絲衣司」の作品展では、昨年より、
植物染色で自然の色から染めた絲で
作品をつくることに挑戦されています。
今年は、昨年に続き「紫」と、
新たに「茜」の染色にも挑戦されました。
まずは「紫」。
「紫」の染色はとても大変なのだそうです。
紫色の染色は、
染料はムラサキ草の根を乾燥させた
紫根を抽出して色を出します。
紫色は色が出にくく、とても手間がかかるそうです。
染める工程は、
糸に色素を吸着しやすくするために先媒染します。
紫根を抽出した染液に先媒染した糸を浸し染めます。
染めた糸をアルミニウムを入れた媒染液に浸し媒染し、
また染液に浸し染める。
この作業を繰り返しながら染重ね、
好みの紫色を作っていきます。
今回はこの工程を7~8回繰り返して
この美しい「紫色」をつくったというこだわりようです。
こだわりの紫に染め上げた糸がこちら
この工程の回数によって、
このように何色にも染めることができるのですね。
そして一番大変だったことは、
「紫根のにおいを取ること」と
「色移りを防ぐこと」だったそうです。
これらをクリアした
「こだわりの紫」が今年も誕生しました。
服部さんいわく、
紫色の染色は色ムラができやすいそうです。
綴れ織の場合、
通常はムラのない絲で織るのが当たり前ですが、
柄によっては平たんに見える事があるそうです。
しかし、敢えてムラのある糸を使うことで、
そのムラがかえって立体感を出し、
味のある柄に表現できたようです。
今回はその絲を使って織った帯
をお楽しみいただけます。
帯の下絵と絲
下絵の帯
山の奥行などを表現
柄の一部に「紫」を入れて立体感を演出
次回は、「茜」についてリポートします。