【リポート】福岡・博多の伝統工芸とアビスパ福岡コラボ企画リポートVOL.3【博多人形”アビスパ福だるま”ができるまで】
前回のリポートでは、選手の皆さんが作っているようすで
「“アビスパ福だるま”ができるまで」をお伝えしましたが、
今日はこの博多人形のだるまを制作した
博多人形師・田中勇気さんによる
「“アビスパ福だるま”ができるまで」を紹介します。
田中さんは子どもの頃からものづくりが好きだったそうで、
高校生の時に博多人形師の世界に入ることを決め、
18歳で弟子入りし9年間師匠のもとで技術を磨いてきました。
独立して5年、今は博多区にある冷泉荘に工房を構えています。
制作活動のほか、ワークショップなども行っています。
当館でも第1日曜日は博多人形の絵付け体験を行っており、
田中さんにも月替わりで実演&体験をお願いしています。
(はかた伝統工芸館は現在臨時休館中)
さて今回の博多人形に採用した“だるま”について少しお話します。
“だるま”は「七転び八起き」の縁起物として知られていますが、
モデルはインド出身の仏教僧“達磨大師”といわれています。
67年間仏教を広めた後、中国・嵩山少林寺で9年間「壁観」
という過酷な修行を成し遂げたことから大師の号を賜りました。
縁起物として発展したのは江戸時代といわれています。
“何度倒しても起き上がる「起き上がり小法師」”と同じ形に造り、
縁起物として広まったとされています。
色は達磨が身につけていた赤い法衣の色から使用。
目入れの発祥は、諸説ありますが、感染症が大流行し、
命は助かったけれど失明の後遺症が多かったことから、
目無しのだるまに目を入れて厄除けとしていたといわれています。
また色にもそれぞれ厄除けや健康、勝負運など運気を上げる意味があります。
今回、杉山選手会長、山ノ井副選手会長、北島副選手会長にその意味を伝え、
“だるま”が採用されました。
また色などデザインも選手たちの想いのままで彩色をしよう、という事になりました。
その選手会のみなさんの想いを託して、田中さんに人形の制作をお願いしました。
さてここからは田中さんによる「“だるま”ができるまで」のようすです。
人形の素材は粘土です。
福岡近郊でとれた粘土(乾燥、粉砕などをした後)を丹念に練り上げて下準備をします。
原型からとった石膏型に、練り上げた粘土を貼りつけるように指で押し詰めていきます。
この技術は簡単なものではく、型からスムーズにはずすための重要な技術のひとつです。
型から生地をはずしていきます。
粘土が柔らかいため、指の力でつぶれたり傷がつかないように丁寧に慎重に扱います。
型から取り出した”だるま”の生地がどんどん出来ていきます^^
これで完成ではありません。
余分な粘土を削ったりと原型の通りにきれいに仕上げ、生地の完成です。
さらにここから乾燥させて、焼いていきます。
このように、手間をかけて作っただるまの素焼きがこちらです。
そしてその素焼きの状態から、選手それぞれが、
意味を考え、思い思いの色やデザインを施して
“アビスパ福だるま”が完成しました。
杉山選手会長と田中勇気さん
【アビスパ福岡杉山力裕(すぎやま りきひろ)選手会長コメント】
「今回、選手会によるアビスパ福岡smileプロジェクトの一環として、
福岡・博多の伝統工芸品である博多人形を
チャリティー販売させていただく事になりました。
収益は医療従事者の方々への試合招待、マスク、アルコールスプレー
などのプレゼントを予定しています。
選手一人一人が気持ちを込めて世界に一つだけのオリジナルの
アビスパ福だるまを作ったので購入していただければ幸いです。」
【博多人形師・田中勇気さんコメント】
「勝負の世界で活躍するサッカー選手とのコラボは
とても刺激的で、博多人形の新しい一面を自分自身でも
垣間見る事ができました。
個性的なダルマ達を通じて博多人形へ
興味を抱いていただけたら嬉しいです。」