2020.12.17【リポート】「源氏物語五十四帖貝絵展」リポートVOL.1
「源氏物語五十四帖貝絵展」リポートvol.1
今回の作品展は、
博多人形伝統工芸士・梶原正二さんが
構想から12年かけて源氏物語五十四帖を題材に、
貝絵に表現した、渾身の作品展です。
貝絵とは、平安時代の貴族の遊び「貝合わせ」の道具です。
貝合わせは、
2枚合わせた貝殻の内側に、
1枚は名所などの絵を描き、
もう1枚にはそれに関連した和歌をしるして合わせ取る、
カルタのような遊びです。
江戸時代の貝合わせは、
本物のハマグリの貝殻を使用して、
内側を蒔絵や金箔で装飾したものだったようです。
博多人形でも装飾の中に、
しじみなどの貝に彩色をしたものはあります。
梶原さんの貝絵の貝は粘土で原型を作り、
その内側に絵を彫り込んで彩色しています。
さらに、貝殻の外側にまでこだわり、
貝殻の質感をリアルに再現しています。
手のひらほどの小さな貝の中に、
源氏物語の54のシーンを
一場面、一場面、描かれた作品は繊細かつ圧巻です!
では、そのこだわりを紹介します。
◆こだわり(1)◆
【貝絵の貝】は、博多人形の技術を駆使し、
粘土でハマグリをリアルに再現しています。
内側は、厚みを細かく調整しながらハマグリの形を整え、
貝の殻頂の部分も細かく表現しています。
外側は彩色でハマグリの模様や貝のつやなどをリアルに表現。
◆こだわり(2)◆
【貝絵の下絵】は、粘土で制作した原型に墨で下絵を描き、
丁寧に細かくミリ単位に下絵を彫っていきます。
◆こだわり(3)◆
【彩色】は、内側に漆で金箔を貼り、
岩絵の具で、人物、背景、景色、動物など
一場面、一番面を細かく描いています。
それでは、貝絵の作品の一部を紹介していきましょう。
その”こだわり”に注目しながら、ご覧ください。
<54帖の貝絵の一部(光源氏の時代)>
第一帖 「桐壺」
光源氏の誕生
第二帖 「空蝉」
源氏が空蝉に会いにきたが会えず、残された小袿を持ち帰る
第四帖 「夕顔」
源氏と夕顔の悲しい恋
第五帖 「若紫」
藤壺は源氏の子(紫上)を宿す
第六帖 「末摘花」
赤鼻の末摘花との出会い
第九帖 「葵」
朱雀帝譲位、車争い。葵の死後、紫上と結婚
第十二帖 「須磨」
源氏、時勢が変わり須磨へ下る
第十三帖 「明石」
源氏、明石に移り、明石上と出会う。朱雀帝より召還。
第二十三帖 「初音」
六条院の新春
第二十四帖 「胡蝶」
春の御殿の船楽。夕顔の子・玉鬘に言い寄る人々。
第二十五帖 「螢」
蛍火に輝く玉鬘の美しさ。
梶原さんに、この作品への想いをお聞きしました。
「12年前に、源氏物語を学んで
ずっと五十四帖の場面を貝絵で表現したかった。
5年前から少しずつ作り始めて、
ようやく「貝絵」だけの作品展を開催することができました。
ひとつひとつ想いを込めて、表現していますので、
ゆっくり作品を見ていただき、心癒されてもらえれば嬉しい。」
作品の続きはまたご紹介しますのでお楽しみに・・・
作品展は、12月22日(火)までです。