【リポート】はかた伝統工芸館リポート!「博多人形福の神七変化作品展」vol.1
今回の「博多人形福の神七変化作品展」について少しお話させて下さい。
はかた伝統工芸館は福岡市博多区上川端町で開館して10年が過ぎました。
そして今年、冷泉小学校跡地の活用検討に伴う埋蔵文化財の発掘調査のため、
4月28日より福岡市博物館に移転しました。
そこで、これまでの感謝の気持ちを込めて、
人と人とのつながりや、ものづくりの大切さを知ってもらいたいと企画しました。
これまで当館と関わっていただいた作家さんや関係者の皆さん、ワークショップに
参加していただいた皆さまにご参加いただきました。
福の神は、
「これまでの感謝の気持ちの39(サンキュー)」+
「百道浜の地に移転したこれからもお願いしますの39(サンキュー)」
の意味を込めて78体にしました。
博多人形福の神の素焼きを彩色や装飾などで七変化していただきました。
遊び心満載の作品がお楽しみいただけます^^
見に来られない方々もいらっしゃるので、このリポートで作品を紹介していきたいと思います。
<作品紹介>
「窯変 福の神」 高取焼宗家 高取春慶
この作品は、高取の伝統的な釉薬ですが、特別なものに仕上げたかったので、
釉薬の濃度、焼き方を本来とは違うやり方で
高取の新しい可能性を感じさせる作品に仕上がったと思っています。
「一体」 高取焼八仙窯 高取周一郎
高取焼特有な釉薬と博多人形が合わさって、様々な表情を浮かべます。
手作業からなる温かみのある作品に仕上がりました。
「竹取りの福の神」 高取焼味楽窯 亀井久彰
陶芸とは別のジャンルを体験するのは初めてでしたが、
博多人形の造形の美しさや彩色のすばらしさを改めて実感しました。
そのリスペクトの意味も込めて今回の作品は彩色にも挑戦しました。
器に自分の作家カラーである「青」と高取の色を使った「かぐやシリーズ」で
福の神人形と器の美しさをトータルで表現しました。
高取焼味楽窯 十五代 亀井味楽
同じ土を使う博多人形師さんの造形や彩色の技というもの改めて実感しました。
今回は高取の釉薬をかけず、色化粧(七隈の白土に顔料を入れたもの)に
布羅志釉だけを使い、現物に忠実に仕上げました。
十五代らしさを作品にいかすために透かし彫りの器を福の神人形のために作りました。
今回のコラボでいろいろなヒントがもらえ、楽しみながら作らせてもらいました。
「本当は変わりたい」 有田焼創作絵付け師 華仙
少し飽き飽きしてきた真面目な表の自分の姿の裏腹に刺激を欲しがる。
少しでも伝統を含ませようと誤魔化しながら個性に初めて手を出し、アップデートを試みた。
でもまだ急には変わりきれず、個性は表と裏に分けている様を表現。
伝統ばかりに囚われすぎず、進化したい、変わりたい、
という今の自分の気持ちをこめてみました。
「福の神×別府竹細工」 大分別府竹細工 こじまちから
エンターテインメント性あふれる福の神をテーマにしました。
福の神の周りには大分別府竹細工の「竹玉」、
日本の衣装籠にも古くから使われていた「桝網代(ますあじろ)編み」の敷物、
縁起のいい「六ツ目編み」を背景に、三種の竹の伝統技法を使用。
伝統の工芸と現代技術で装飾を表現しました。
訪れる人に工芸の今後に期待してもらいたい。
現代・未来も日本、九州の伝統工芸が各地の地産文化として途切れず、
竹のように繫栄していけるよう願いを込めて。
そして新しくなったはかた伝統工芸館がコロナ禍を乗り越え、
たくさんの来館者に多様な伝統工芸を見せてくれることに期待しています。
「GOZA」 柳川イ草・九州物産 友添祐一郎
福岡県無形文化財に指定されている筑後地方の伝統的な
製織技法「掛川織」を台座にしてコラボしました。
福の神はイ草フラワーをイメージしてカラフルに表現しました。
「漆の色の変化」 八女福島仏壇 漆工房岩弥 近松敏夫
漆は空気に触れると色が変化し、ムロの湿度でかわく、不思議な天然塗料です。
漆の「青」は特に変化が分かります。福の神にはこの「青」を使いました。
福の神を通して漆の色の変化を伝えられれば、
そして漆に興味を持っていただければ幸いです。
日差しなどを浴びながらもう少しするとお顔の色は色白になります・・・
「福の神様」 博多張子 河野正明
張子の製作で型に貼るときに型作りに使う、柿しぶを使用して福の神を型に、
“柿しぶ仕立て”にしました。
何事も叶えるといわれる“宝珠の玉”をあしらい、
「福がきますように・・・」と願いを込めてつくりました。
ふぐの部分は張子です
「めでたづくしの五福宝珠」 博多張子 三好由美子
「福の神」を型に、張子の技法で「福の神の張子」を作りました。
縁起の意味がある柄と色を盛り込み、めでたい福の神に仕上げました。
「だるま」=福を招く、「松竹梅」=羽織の柄
「宝珠」=災難を除き願いを叶える、
「五色」=赤・黄の羽織、紫・青・緑の袴
「 縁 」 博多曲物 十八代 柴田玉樹
はかた伝統工芸館との縁はもちろん、今回参加された方々、
ご来館のみなさんとの縁を大切に想いながら制作しました。
曲物の特徴である「円」と「縁」をテーマに制作しました。
曲物の円は鎮座している福の神に後光がさしているイメージで表現しています。
「福の神」 博多人形師 宮永 誉
「USB福の神」 博多人形師 野田祐輔
「マグマ福の神」 博多人形師 永野繁大
「金襴福の神」 博多人形師 田中勇気
着物の柄を描いていくうちに人形師魂に火がついて・・・
「福の神」 博多人形師 石田哲志
アートですねえ・・・
「福の神」 博多人形師 臼杵康弘
「東京オリンピック」 博多人形師 髙野幸博
東京オリンピックを応援する気持ちを込めて・・・
「福の神」 博多人形師 梶原正二
総金箔貼りで豪華な装いに・・・
「イトかわゆし」 博多織作家 荒木希代
手織りで織った着尺の生地を福の神の衣装と台座に仕立てました。
着尺を織る絹糸を使って台座の演出と福の神の髪の毛に施しました。
絹糸を編んでドレッドヘアにしてみました!
首元のリボンの糸は“まゆ姫の夢”の座繰り糸で精練していないので
ハリがありいい感じになりました。
福の神の全身に博多織が隠れていますので、
じっくり探しながらお楽しみください。
「KABUKU」 京都爪掻本綴 服部秀司
「 道 」 装飾クリエーター 甲斐ゆきの
コケが癒されます・・・
釜山広域市 オク・ヨンジュン
釜山より、サランヘヨ・・・
続きはまた次のリポートで。
当館では、感染拡大防止対策の徹底を行いながら開館しています。
何卒ご理解いただき、ご協力いただきますようお願いいたします。
作品展は9月20日(月祝)までです。