【リポート】はかた伝統工芸館リポート「西山陽一個展」vol.2
人形師 西山陽一さん出品作品の中で、
ひと際存在感のある能もの作品「船弁慶」を紹介します。
この作品は、西山さんが20代の頃に制作した1品作で、
博多人形師の登竜門「与一賞展」で与一賞を受賞した作品です。
<西山さんコメント>
「今回40代になってもう一度、
今の西山陽一として彩色をやり直してバージョンアップさせました。」
<作品への想い>
「能楽堂に能「船弁慶」を見に行った時のこと。
亡霊になってもなお戦いを挑んでくる平知盛の登場は一番の見せ場であり、
あまりの迫力に魅了されました。
その迫力と感動を再現したいという思いで制作。
突然雷が鳴り始め嵐がおき、薙刀を持った平知盛が波間から現れる
印象的な情景を能装束に美しく描き出し、力強く存在感のある
平知盛を表現しました。」
<能「船弁慶」あらすじ>
平家追討に功績をあげた源義経でしたが、追われる身となり、
弁慶らとともに西国へ逃れようと大物の浦へ到着します。
静と別れを惜しみつつ船出すると、海上に出るや否や
突然暴風に見舞われ、波の上に壇ノ浦で滅亡した平家一門の亡霊が現れ、
総大将の平知盛の怨霊が義経を海底に沈めようと薙刀をふりかざして襲いかかります。
義経の応戦、弁慶の必死の祈祷により怨霊は消え、白波だけが残りました。
作品名「波間より現る」
袴の動きのある造形、衣のしわまでリアルに表現
髪の1本1本を細かく描いて表現
髪の質感や揺れ具合
衣には、細かく描いた龍が・・・
次の作品は、縁起もの「だるまるだ」です。
<西山さんコメント>
「たくさんの人に楽しんでもらいながら、
もっと面白く顔を変えたり色を変えたり改良を重ね、
今の「だるまるだ」へ進化していきました。
毎日を過ごす中でなんだかグッと力が入ってしまう時でも、
ニッコリ笑顔に変わりますようにという思いでつくりました。」
博多人形は触りにくいと言われるので、
敢えて気兼ねなく触れて遊べる人形、
トリックアートのような作品にしたそうです。
触ってだるまをひっくり返すと表情が変わります!
そうなんです。
このだるま、上から読んでも「だるまるだ」下から読んでも「だるまるだ」。
読んで字のごとく、このだるまをひっくり返すと、
”威厳のある表情のだるまさん” から
”笑った顔のだるまさん” に変わるのです。
だーるまさん、だーるまさん、にらめっこしましょ
あっぷっぷっ!
金のだるまるだ
青のだるまるだ
赤のだるまるだ
ちょっと、クスっと笑ってしまいます^^
ナイスアイデアですねえー
作品展は9月26日(日)16:00までです。