【リポート】「博多人形伝統工芸士展」リポート!vol.1
「博多人形伝統工芸士展」始まりました。
まずは伝統工芸士について少しお話させていただきます。
伝統工芸士は、
経済産業大臣指定の伝統的工芸品の製造に従事している技術者のうち、
12年以上の実務経験を有し、高度な技術・技法を保持していると
認定された方々のことです。
令和2年度までの認定で、全国で3,730名(認定者数累計8,137名)が
伝統工芸士として活躍されています。
博多人形伝統工芸士の現在の活動者数は40名(令和2年度現在)です。
今回はその中の12名の伝統工芸士の皆さんによる作品展となります。
新作博多人形展で受賞した作品など
普段なかなか見ることのできない逸品をご覧いただけます。
それでは、作品を紹介していきます。
「尼比恵様」 下川貴士 作
コロナ禍の中、多くの作家が「アマビエ」を作っていますが、
人形師歴28年の下川さんのアマビエは、
大きさそして色使いすべてにおいてインパクト大です!
「江戸時代のかわら版に描かれた「アマビエ」をモチーフに、
世の中に広まる疫病(コロナ)を沈ませているようすを
現代的に令和のアマビエとして表現してみました。」
「獅子文殊」 多田明正 作
この作品は多田さんの仏像シリーズのひとつで、
自分自身、作っているときに落ち着いた気持ちになるそうです。
「作品を通して幸せな気持ちになってもらえれば」と多田さん。
獅子の上にいる文殊菩薩は、智慧を司る仏様です。
物事の正しい在り方を見極める力と判断力に優れ、
その智慧で人々を悟りへ導くと伝えられています。
どう猛な獅子の上に乗れるほど智慧の力が強いことを示しているといわれ、
獅子がその強さで文殊菩薩を守るためとも伝えられています。
この作品の獅子は微笑ましく菩薩様を守っているようすがほっこりしますね。
「制吒迦童子」 多田明正 作
不動明王の脇侍の一童子で、誠実でたくましい制吒迦。
わんぱく小僧を思い浮かべて創作しました。
「大黒寅」 多田明正 作
「鯛恵比須」 戸畑潤吉 作
人形師歴50年以上の豊富な経験から溢れ出すやさしい縁起物。
「昔ながらの胡粉仕上げで
パステル調の色合いが特徴の淡彩仕立てで彩色しています。
金色には本金を使用しています。
めでたい縁起物として、身近に飾ってもらえれば嬉しいです。」
「天祐花の舞」 梶原正二 作
お地蔵様から妖怪、武者ものと幅広いジャンルを作り上げる梶原さん。
美人ものの艶やかな表現と衣や装飾の細かな部分にまで細工が施してあり、
また違う作風を見ることができます。
「春を告げる仙女。
咲き乱れる花のように天空に舞い遊ぶようすを表現しました。」
後ろ姿の衣の流れるような表現と衣の薄さに感動です。。
「博多箱雛」 長友敬次 作
15歳から博多人形師として人形をつくり続け、
今ではこの手びねりが長友さんの代表的な作風です。
「手びねりでつくる博多人形ならではの細かさを追求しています。
5円玉ほどの大きさで雛人形や装飾すべてをつくっています。」
弓には糸を巻き矢の羽先まで細かくこだわって表現していますので、
是非じっくり見てください。
続きの作品はリポートvol.2で紹介していきます。