【リポート】5月18日(月) 「博多人形白彫会作品展」リポートVOL.5
「博多人形白彫会 若手作家作品展」は、
若手作家8名による作品をご覧いただきましたが、
最後のリポートをお届けします。
「与一賞展」に出品する作品を作っている田中勇気さんに突撃!
お客様も釘づけです
田中勇気さんは、高校2年生の時に、
自分の手で何か作って食べていける仕事がしたいと思いはじめ、
色々なモノづくりを実際に見て回りました。
出身は愛知なので、焼き物や絞りなどモノづくりのものはたくさんあったのですが、
見て回るうちに自分の中で、使うものに対する極めより、
表現したいという気持ちが強く湧いてきたそうです。
そこで、興味のあった博多人形を見てみたいと思い、
電話帳で探し当てた博多人形師 梶原正二さんに出会います。
そして、梶原さんの作品を見て確信に変わりました。
自分の好きなものを好きなように表現できる世界があることを知り、
この世界でやって行くことを決意しました。
しかし、まだ学生だったので、卒業を待って18歳で弟子入りします。
尊敬する師匠の背中を見ながら今年で9年目。
若手人形師の登竜門「与一賞展」で2年連続「与一賞」を受賞し、
才能を開花させました。
「まだまだ師匠のもとで修行中ですが、「作りたい」と思う本能のまま
自分の個性を出しながら作っている。得意とする作風はあえて
決めないようにしているが、「美人もの」にはこだわりを持っている」
という田中さん。
その美人もので勝負し、結果を出した作品が、「生酔い美人」。
田中さん23歳の時の作品で、葛飾北斎の描く芸者を見て、
「作りたい!」と思ったそうです。
そして見事、第42回「与一賞展」で「与一賞」を受賞。
しかし田中さんは「与一賞に出したものの不安で心残りの作品だった。」
「でも、今改めて見ると今の自分の評価は高くなっている。
“その時感動する瞬間”を作るというのが自分の人形作りの原点なので、
そこはブレてなかったなあ。」と、その時の心境を振り返り、
笑いながら話してくれました。
美人ものの2作品目「舞台袖」。
地元の素人役者たちによって演じられる地元に根付いた歌舞伎
「地歌舞伎(じかぶき)」を題材にした女性のワンシーン。
舞台袖で自分の出番を不安そうに待つ緊張の瞬間を表現。
素朴な風合いでストーリーが見えます。
続いて、ほっこりする作品を2つ紹介。
「竹の玉」「淡墨桜」。この2つは「商品」として作ったものですが、
小さい作品でも手を抜けないんですよね」と田中さん。
博多人形は、髙いイメージや置く場所がないなど、
日常的に離れつつあります。
当館では節句人形や雛人形などは、日本文化として飾る習慣があるので、
伝統工芸品が欲しいと思った方には、よくお勧めします。
作家さんたちも節句・雛人形などは、価格を落としてくれていますので、
買いやすいのもあります。
しかし、どんなに小さな作品でも手を抜かず仕事をしているので、
自慢できますよ^^
今回も作家さんたちは家に飾ってもらいたいという想いで作ったものを
持ってきてくれています。
最後の作品は、「曹家の悪たれ」。
第44回「与一賞展」で「特選」を受賞した作品。
見た瞬間、本人に似てる~っと思いましたが・・・
三国志の登場人物「曹操」が題材。
若い頃の「曹操」で、大志を抱きつつ、若さゆえ突き進む姿を表現。
作品展は、明日19日(火)までです。
是非みなさん是非お越しください。